DMJ No. 50010404
学名/和名
(MJ No.)
Archips subrufanus (Snellen, 1883) ヒナタハマキ

Tortrix subrufana Snellen, 1883, 187, pl. 11, figs 3, 3a.

Archips ingentana ab. subrufana Walsingham, 1900, Ann. Mag. nat. Hist. (7)6: 380 ; Kennel, 1908-10 : 127, pl. 6, flg. 48 ; Obraztsov, 1955 : 205.
Archippus (Archippus) coreensis Park, 1976, 110, figs 1-3.
Archips subrufanus: Razowski, 1977 : 87-88 ; Liu,

1987 : 127, figs 9, 47, pl. l, figs 14-15 ; Razowski,1993 : 676 ; Byun et al., 1998 : 23, fig. 18 on p. 215, fig. 18 on p. 225, fig. 18 on p. 265 ; Liu & Li, 2002 : 169, pl. 24, figs 224a, 224b, pl. 71, fig. 224, pl. 113, flg. 224.

Archips (Archips) subrufanus Kuznetzov, 2001: 132, fig. 78: 4, 84: 8.

標本画像
生態画像
同定

. 前翅長約11mm. 頭部および胸板は明るい橙褐色, 腹部は灰褐色で尾端に淡い黄褐色の長毛を備える. 前翅は幅広く, 翅頂はやや突出するが後角の突出は強くない; 地色は明るい橙褐色で, 内側はやや赤みを強く帯び, 全体に赤褐色の短条を散布する; 斑紋は赤褐色, 基紋, 中横線, 端紋はともに明瞭. 縁毛は地色と同色で, 後角付近以外の縁毛の先端は暗褐色を呈する. 後翅はやや赤みを帯びたクリーム色で, 縁毛は地色と同色.

♂交尾器. Uncus は細いがやや短く,中央に溝を備える; socius は小さい; gnathosは長く,先端はとがる; tegmenは細長い; juxta はハート形; valva はやや長く, 先端はとがる;valvacostaは中央部がややへこむ; succulusはやや狭く, 基部1/3で突出し後先端に向かって細くなり, 先端には細かい棘を密生した突起をもつ; aedeagusは背面中に大きな棘を持ち, cornutiは針状で数本

本種はオオアトキハマArchips ingentanus (Christoph, 1881) に酷似するが, 後翅が全体に淡色になることである程度区別可能である. しかし, オオアトキハマキでも後翅が本種同様に淡色になることがあり, そのような個体と本種との外見による区別は困難である. 交尾器ではaedeagus に大きな突起をもつことで区別は容易である. 筆者はメスを検討していないが, Razowski (1977)によれば, 7腹板の形状によって区別可能だという.

本種は日本および中国では7月および9, 韓国では6月から9月に得られており, 2化ないし1化と思われる.食餌植物の記録はないが, Razowski (1977)は本種を多食性と記述している. 採集地のうち朝霧高原は火山性草原だが, 塔ヶ岳はそのようなことはなく, 従って生息環境は現在の所はっきりしない.

本種はこれまでの主な日本のチェックリストで扱われたことはない(Yasuda, 1975; 川辺, 1982; , 2000), Razowski (1977.1993), Byunほか(1998), Kuznetzov (2001) は本種の分布域に日本(北海道,本州)を入れている. 筆者は北海道の個体をまだ確認しておらず, 今後の再調査が必要と考える. Bymほか(前出) はヨーロッパを本種の分布域に入れているが, 最近のヨーロッパの種名リストに本種が含まれていないことから(Razowski.1996), この記録は疑わしい.

Archips属は大きな属で亜属がいくつか設定されているが,ここでは亜属による分類を採用しなかった.本属の分類に関しては, 系統推定をふまえた包括的な再検討が必要と考える(Jinbo, 2000).

本種の和名は,前後翅が淡色で,特に後翅がクリーム色である様子を「日なた」になぞらえたものである.

分布 北海道(?), 本州; ロシア,中国, 韓国.
発生期
食樹・幼生期 食餌植物.不明.
幼虫画像